前半は、初参加の方をはじめ、他の方からも吃音で困ることについて伺い、解決策について皆で話し合いました。まず、仕事の電話でことばが出ないことが困るとのお話がありました。それについて、どうすればよいかを皆で話し合うと、遅延聴覚フィードバック(DAF)を用いてみる、一息ついて落ち着いてから電話をかける、相手がいるかのように随伴運動をつけて話すなどの意見が出ました。また、目上の人と話すときのような緊張する場面、挨拶や固有名詞のような、言い換えのできないことばを言わなければならないときに困るという悩みには、皆さん共感している様子でした。ことばのつながりによって言いにくいことばと言いやすいことばがあるという意見には複数の方が同意していたようでした。このように、様々な吃音に関する困りごとが挙がりましたが、その対策として、究極的にはどもってもいいという感覚を持つことが大切との意見がありました。一方で、その難しさを訴える声もありました。最後には、どもって嫌な気持ちになることは、仕方のないこととして受け入れていくことが大切との意見に皆さん納得していた様子でした。
後半は、吃音と聞き取りの問題について、私の大学院での研究結果について報告しました。日常生活における聞き取りについてのアンケートで吃音者は非吃音者よりも聞き取りの困難さを抱えていることが明らかになったこと、その背景には聴覚的注意の弱さの他に、心理面の不安や恐れなど様々な要因が複合的に関係している可能性があることなどをお話ししました。限られた時間で分かりにくい内容だったと思いますが、実際に日常生活で聞き取りにくさを感じることがあるといった感想や、聴覚情報処理障害(APD)とは何か、発達障害との合併についてなど研究に関する質問が挙げられました。また、今回は成人を対象とした研究でしたが、子どもの場合はどうなのかという意見もあり、今後の課題とさせていただきたいと思います。
10月例会の例会終了後、JR大宮駅前にて10月22日のISAD(国際吃音啓発の日)のためのビラを12名の埼玉言友会会員で歩行者に向けて配りました。
なかなか受け取ってもらえないものの、中にはビラを受け取ってその場で立ち止まって興味深く読んでくださる方もいて、地道な啓発活動が吃音の社会への認知には必要であると感じさせられます。
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田辺輝幸 (土曜日, 12 3月 2016 16:54)
この日に女子大学生に会えて良かった