第7回吃音勉強会「吃音の科学を知る」


【報告】

 先日の勉強会では、吃音に関する脳機能研究の論文を読みました。
 まず、簡単に脳の基本的な構造や脳機能測定法についてwikipedia等を活用しながら紹介し、その後論文の抄録部分について解説しました。
 その中で、吃音者は特に言語野の働きが左右の脳半球で異なること、また、ニューロフィードバック(自身の脳活動をリアルタイムのフィードバックを参考に調整すること)等のセルフコントロール法が有用である可能性があることなどについて話し合いました。

 高度な内容で論文の一部しか読むことはできませんでしたが、私自身人に教えながら丁寧に論文を読んでいった経験はこれまでなかったので、新鮮に感じました。
 吃音の科学的研究が発展したとしても、社会制度上それを臨床に応用することは難しかったりするなど、様々な問題はありますが、より有効な治療法が研究を通して提案されていくとよいと思いました。
 吃音の科学的知見がわかっても、日常生活でそれを活用するのは難しいかもしれませんが、何らかの示唆になれば幸いです。

(灰谷)


【感想】

 今日は脳機能研究に関する論文を読み、それについて議論しました。

 今回の論文は非常に難解で、また時間が限られていることもあり、最初に概要と結論部分を読み、余った時間で内容をざっと読む程度となってしまいました。

 吃音者は一般の人と比べ左顔面・口の運動野直下の弓状束を含む白質に乱れがあり、ブローカ野の体積減少が見られること、また発話時には右前頭葉が過剰に活動すること、さらに小脳の活動が広範囲に見られるということを学びました。

 一方、斉読によりどもらない状況を人為的に作ってやることにより、右前頭葉の過活動が抑えられるということでした。

 また、前回学んだ直接法による吃音改善治療の結果、右前頭葉の過活動が抑えられた状態が続くものの、一般の人よりは依然右優位の度合いが強いこともわかりました。

 ざっと読んだだけで理解もはっきりいって充分とはいえませんが、直接法の効果を裏付けるための脳計測だったのかな・・・と感じました。また、吃音改善リハビリ治療の終了の指標として、右前頭葉優位性の抑制が挙げられる可能性があるとのことでした。

 また、将来の可能性として、経頭蓋に磁気刺激を与えることにより脳の偏った部位の活動を抑えたり、ニューロフィードバックにより流暢発話時の脳活動パターンを学習させることができるかもしれない、とのことでした。前者は脳梗塞やうつ病、幻聴などの症状の治療に、後者は発達障害の改善にすでに使われているそうです。

 いずれもわが国では保険外の自由治療で、しかもかなり高額であるため、個人レベルで試すのは難しいと思われますが、将来治験が行われるようになれば、やってみてもいいかな・・・と思いました。この論文、読み込んでいけばもっと面白くなると思います。ありがとうございました。

(Web担当 松村)