第8回吃音勉強会「聴覚性遅延フィードバック装置(DAF)を体験・考察する」

【報告】

 DAFは自分の話した声を遅らせてヘッドホンで聞きながら、発話の練習をする装置です。
 自分の声をやや遅らせて聴きながら話すことで、吃音症状が消え、流暢な発話ができるようになります。


 勉強会の場では実際に参加者にDAF装置を体験してもらい、朗読文のテキスト教材などを読んでもらいました。

 遅れて聴こえる声を意識しながら話すのは、なかなか難しいことです。

 ある程度集中することも必要であるし、練習が必要になります。DAF装置は最近ではスマートフォンのアプリケーション等でも安価に手軽に利用ができ、普及し始めています。
 しかし、スマートフォンでDAFを体験したことのある吃音者から感想を聞くと、「試したけど効果ないよ」という意見を多く聞きます。

 それはもしかすると、せっかくDAFを体験しても、しっかりと遅れた声を聴くことができていないのでは?と思います。

 本来のDAF装置は専門家の指導のもとに、声の遅れを意識する指導や、流暢な発話のためにDAF装置を正しく使用する指導、難発性吃音の第一音の滑らかな発話の指導など、
細かな指導を必要とするものです。

 私自身、過去に専門家からDAF装置を使用して吃音治療の訓練を受けておりましたので、今回の勉強会では素人ながら、当時の訓練で得た知識を最大限に思い起こしながら、参加者にDAFの効果を正しく実感してもらえるよう心掛けました。

 また今後も埼玉言友会の例会や勉強会でDAFを用いた練習の機会などを設けたいと思っています。

 

(國分)

【感想】

 本日はDAFを使用した吃音改善法について考えました。
 DAFという機械はとても高価かつ壊れやすいそうで、扱う際は非常に緊張しましたが、ワンテンポ遅れて聞こえてくる自分の声を待って次の音に進むようにして朗読すると、非常に発話がゆっくり均質かつリズミカルになるのを体感できました。
 通常、健常者は自らの声が空気伝導して耳に入ったものを追うように発声しているところ、吃音者の場合は骨伝導に依存しているために発話の流暢性が失われており、これをDAFが矯正してくれるようです。聴覚刺激に注意を置換することにより流暢性を体感し、これを体に覚えこませるということのようです。
 理屈は分かりますが、実践はなかなか困難であると感じました。朗読には慣れてきても、実際の会話でこの装置を使用して練習することは、やはり少し無理がありますね・・・ただ前々回の勉強会で使用したレジュメによれば、国リハの酒井先生の臨床試験においてレベルⅢのエビデンスで効果が立証されているとのことでした。
 しばらく勉強会が進んだのち、毎日新聞の記者の方が取材に来られました。毎日新聞といえば最近、怪談例会や吃音ラジオ、身体障害者認定訴訟など綿密な取材のもと書かれた記事が立て続けに社会面に掲載され、吃音について一般の方の耳目を集めています。埼玉言友会や全言連にもなおいっそうの協力を求めているとのこと。吃音が注目されるのは非常にありがたいことで、今後も積極的に協力し、連携を進められればいいな、と思いました。

(Web担当 松村)