7月の例会は、「認知行動療法」をテーマに灰谷が担当しました。当日の参加者は担当者も含めて4名で、初参加の方が1名いらっしゃいました。
「認知行動療法」は、文字通り、認知療法・行動療法が混合した技法の総称を表す言葉として用いられています。例会では、行動療法・認知療法のそれぞれに関してご紹介する予定でしたが、初参加の方のお話をお聞きしていたこともあり、行動療法のみが内容の中心になりました。
行動療法では、行動を「きっかけ(Antecedent: A)」「行動(Behavior: B)」「結果(Consequence: C)」の連鎖の中でとらえます。今回の例会では特に、「結果」が行動を規定することを中心に説明し、日常生活の中で、「直後の結果」が「行動」を規定している例に関して考えていただきました。
例えば、「知り合いがいる(きっかけ;A)」「(話すのが怖いから)知り合いを避ける(行動;B)」「一時的に安心する(結果;C)」という例の場合、知り合いの人を避けた「直後の結果」として、「安心」という好ましい状態が一時的に得られます。しかし、長期的には「知り合い」との友好的な関係が深まらなくなってしまったり、コミュニケーションの経験を積めなくなってしまったりするなど、好ましくない結果が得られてしまいます。
今回の例会では、「直後の結果」が好ましいことによって、長期的には好ましくない結果を得てしまっている場合に関して皆さんに考えていただきました。しかし、うまく皆さんの日常生活での困りごとを引き出すことができず、行動療法の考え方を日常生活に持ち込んでいただくという目的はあまり達成することができなかったかもしれません。次回は、参加者の皆さんにより日常生活に根差した例を考えていただけるよう、より吃音に特化した説明をしたり、あらかじめ困っていることをお聞きしたりするなどの工夫があるとよいかと思っています。
私は普段、吃音の研究の仕事をしていて現場の問題からは少し遠ざかってしまっていますが、このように当事者の方と接触する機会を持つことで、自分自身にとっては軌道修正の意味があるようにも思いました。
認知行動療法は、認知療法と行動療法が両立して、はじめて成り立つ物だと知った。 認知療法だけでは、頭でっかちになるし行動療法だけでは荒治療になってしまう。 吃音を改善するためには、もう少し踏み込んで勉強しないといけないと思った。
(30代男性)
自分が無意識にやっていた吃る言葉を無理やり話すことが、行動療法と言う名前があったのだと知った。 新しい発見があり勉強になった。
(20代男性)
最初は、専門用語で難しいかなと思ったが認知行動療法での考え方・捉え方で吃音に関わらず普段の生活面や仕事の問題などでも改善が出来そうだなと思った。
今回は、少人数でしたが初参加の人が訪れたので自己紹介や近況など深い話しも出来たので良かったです。
(30代男性)