山田です。11月に、吃音勉強会を担当しました。
今の僕は、5つくらい自助グループの運営を担当したり、いろんな自助グループや当事者研究会に参加したりしています。でも、いまだに、自己紹介のときは、「東大スタタリングと埼玉言友会に所属している山田舜也です。」という風に名乗ることにしています。
今回、ホワイトボードの前に立ちながら、「ああ、やっぱり、僕は、埼玉言友会に育ててもらったんだなあ」「ここが、今の僕にとっての、すべてのはじまりだったんだなあ」と、改めて感じ、いろんな思いがこみ上げてきました。最近、顔を出せていなかったのですが、多くの人が参加してくださり、本当に久しぶりにお会いする人たちも多くて、とてもうれしかったです。
さて、今日は、精神科医の宮地尚子さんが提唱する「環状島」を題材にした当事者研究会(モデル研究会)を開催しました。環状島は、いわゆる「トラウマ」についてのモデルです。「吃音は、トラウマである」というのは言いすぎだと思いますが、深刻なトラウマだけれではなく、「生きづらさについて語ること」一般について、このモデルは使えるのではないか、と考えて、今回、このモデルを使用しました。
モデル研究会では、いろいろな語りが出ました。「最初に悩みはじめたころは、誰とも吃音について語ることができなかったけれど、言友会に参加して、吃音について語れるようになり、周囲にもカミングアウトできるようになった」という体験を、環状島の「内海」から「外海」に至る過程になぞらえた語りがまず出されました。また、「自分は今でも、内海にいるような気がする」という語りや、「吃音の体験について語っているときに、実は語れてないことが本質のように感じることがある」というとても鋭い語りもあれば、「人によって、自分が内海にいるのか、外海にいるのか、違うような気がする」という語りもあり、個人的にはすごく面白くて充実した当事者研究会でした。
ただ、今までの吃音勉強会は、かなり入念のスライドを作って、長いときには丸一日、ぶっつづけで吃音勉強会を担当したこともありましたが、今日の吃音勉強会は、僕の体調の関係もあり、そこまで準備をしていなかったため、結構、時間が余ってしまいました。「せっかくだったから、もっとたくさん準備してくればよかったかな」と少し反省しましたが、余った時間は、悩み相談会というか、個人型の駆け込み当事者研究会のような時間にしました。
準備不足や当日のファシリテーションについて、反省するべきところもありましたが、全体を通して、充実した時間をすごせました。参加された多くの皆さん、本当にありがとうございました。(山田)
【感想】
トラウマについての勉強会や悩みを相談に乗って下さりとても嬉しかったです。良い勉強になりました。(10代男性)
言友会などの自助グループで悩みや抱えている問題を話せて受け入れてもらえると言うことは、絶対に吃音者にとっては、必要なことだけど、その心地よさに依存してしまうと言うのは、自分も参加して感じていた。どこかで自分と相手との距離関係を客観視するのは、大事だと思った。(30代男性)
最初の自己紹介の時、紙に書いて読みましたが上手く話せませんでした。 モデル研究会の時、自分の意見を言う時、少ししか言えませんでした。 吃音あるあるを一人づつ言う時は、言い易かったです。 最近、特に吃音の症状が悪いです。 色々は人の意見を聞いて参考になりました。 これから吃音の症状が改善出来るように努力していきます。
今日は、ありがとうございました。(30代男性)
環状島のモデルが自分の経験に当てはまったのでわかり易かった。 また、吃音以外のこともこのモデルに当てはめて考える必要があると思った。(40代男性)
皆さん自分の考えや思いをオープンに話されていてすごいなと思いました。 私は、人の話を聞くのは、好きですが、話すのは苦手なので‥
思春期の頃が一番辛かったとお聞きし今、受け持っている子たちも数年後そのような時期になるのかと思うと、今何ができるのかなと考えさせられました。 グループ活動をというご意見もいただき、早速、グループ活動を見直しより良いものにしていこうと思いました。 どもってもいいんだと思えることもとても重要ですがSさんのお悩みを聞き社会全体が吃音を理解したものになればいいのにと思いました。(40代女性)
久々に参加しましたが正直、人の悩みを聴くのは、しんどいなと思いました。 自分自身の心に余裕がないと、言友会に参加しても辛いだけなのかなと。 やはり自分が今、求めているのは、居酒屋とかで他愛もない話をしたりカラオケで発散したりすることなので、そういう集まりの機会があればいいな…と思いました。
クリスマス例会とか誰か企画しないかな… (40代男性)
久しぶりに吃音の問題に触れて、生き返ったような新鮮な気持ちになりました。 吃音の悩みは、年齢と共に変わっていくことを実感しています。 言友会で吃音の悩みを話し合っていくと、吃音の悩みが軽くなっていくと思います。 人と語るということは、大切なことだと思いました。(70代男性)
今回の環状島のモデルは、これまでの自分の人生や吃音で悩んでることにも整理が出来、とてもわかり易いと思った。 自分の意見を話すのは苦手ですが、やはり悩み相談を聴くと職場でのコミュニケーションの問題点などで相談されていて共感する部分もあり、今後前向きに頑張ってほしいと思いました。 (30代男性)