7月 第3回新・吃音勉強会

●NSAの大会報告(越智)

◎事前の告知文◎

 アメリカ吃音協会(National Stuttering Association)により7月に開催されたオンライン大会の参加したので内容や雰囲気を共有できればと思います。

◎担当者による報告文◎

 今回の報告会では、NSAの様子を紹介とそれを聞いた参加者の感想の発表を交互に行いました。NSAの様子を皆さんと少しでも共有することができて嬉しかったです。NSA大会に参加したことをきっかけに、海外の様子を積極的に知っていきたいなと思う気持ちが強まりました。

◎参加者の感想(一部)◎

(Mさん)

 NSAの活動を、ホームページの内容、動画等も駆使して、ご紹介いただきましたこと、とても興味深いものでした。英語が今ひとつの私にとって、このような形での発表は、ありがたかったです。越智さん個人の感想も交えつつでしたので、私も参加しているような、おもしろさがありました。また、参加者が感想を言う時間を設けていただいたことで、皆さんがどこに興味があるのかがわかり、そこもよかったです。なんか、新しい時代のコミュニケーションが始まるんだなと、感慨深いものでした。私の感想は、アメリカでは今、いろいろな感情的なもの、暴力的なものが吹き出しているのだろうけど、NSAでは、人権意識を尊重し、相手を称えたり、楽しもうという雰囲気があるのがよくわかり、いいなあと、感じました。それにしても、一気に300人以上がZOOMで参加されたという事実は、すごいことですね。ありがとうございました。

(Sさん)

 NSAのオンライン大会について初めて参加した越智さんから詳しく話を聞けて良かった。ただの説明や感想ではなく、その時々に自分がどのように感じたのかをストレートに表現してくれたので、越智さんに共感しながらも自分自身も一緒にNSAのオンライン大会に参加しているような気持ちを味わうことができた。

 気軽に参加できるというオンラインの利点を生かしつつも、温かさを感じる大会だったようだ。一人一人の悩みに真摯に向き合うスタッフなどの人材の厚さを含め日本の当事者団体との雰囲気の違いも感じ、今後の当事者団体のあり方のヒントにできると思った。

(Mさん)

 本日の参加者は11名。オンラインのよさ?三重県の方もいました。仙台からの参加者もいました。私は「新吃音勉強会」の「新って何なんだろう?」と、7月に開催されたアメリカの吃音協会による大会の報告に興味がわき、参加しました。実際に大会に参加された越智さんからの報告がありました。その中で吃音者に対するアドバイスが具体的ですぐに実践できる事柄がよかっです。例えば「デートの際、どうすればいいのか?」「吃音であることを伝え、…」や「職務質問を受けた際、すぐにことばが出てこない際、どうすればいいのか?」「HPに掲載されているカードー私は吃音者です。ことばを繰り返したり、出てこない…を見せる」等。大会の全てに渡り流れてるのが、「あなたは独りぼっちではない」の、メッセージでした。これは勇気づけられ支えられることばだと、思いました。映画を最後まてまで観ることができなかったのが心残りでした。

(Kさん)

 2年前の世界大会の高揚感が甦りました。

でもやはり自分で体験するのが一番なので、機会があれば随時オンラインでやっているイベントに参加してみたいです。

(山田)

 第3回 新・吃音勉強会では、越智さんが、NSA(アメリカ吃音協会)の大会の参加報告を発表してくださいました。

 今年のNSAの大会は、新型コロナウイルス対策のため、オンラインで開催されました。そのことを利用して、越智さんだけではなく、言友会の何人かの人たちが、NSAの大会に参加をしていたようで、グループラインでもそのことが流れていました。 

 僕自身も「参加したいな」と思い、参加登録までしたものの、別な用事が入るなどして、結局、参加ができませんでした。「どのような内容だったのだろうか」と気になっていたので、今回の勉強会の内容は、個人的にはとてもありがたいものでした。

スライド作りなどの事前の準備や発表は大変だったと思います。担当してくださいました越智さん、本当にありがとうございました。

 以下、越智さんがお話してくださいましたNSAの大会の内容について、僕が感じたことを書こうと思います。

 

 全体の印象としては、NSAでは、専門知や当事者の経験知が広く共有されており、「当事者が、専門知を参照にしながら、吃音の経験を仲間と共有し、日常生活の場面での対処法を考える」という活動を、今の言友会よりも丁寧にやっていそうだな、という印象を受けました。広島の世界大会でもNSAの人たちと交流をしましたが、「自助グループとして、NSAは、しっかりしていていいグループだな」というのが、まず、僕が感じたことでした。

 公式HPによると、NSAは「(吃音を持つ人たちに)人生で失いがちな自尊心を吹き込む」「希望をもたらしエンパワメントすることを専門とする」ということを活動方針として明確に謳っているようです。

 ここの部分だけを読むとやや抵抗感を覚える気もしなくもないですが、「吃音の問題は自己肯定感の問題である」という点に関しては僕もほとんど同意しますので、「いい活動方針だ」と思いました(他者への不信感が強い時期に「あなたに希望を与えたいのです」という支援者に寄り添われると、おそらく僕の場合は、なにがしかの抵抗感を覚える気がしますが、本当にどうしていいかわからなくて誰でもいいから助けが欲しくてたまらない時に、希望を与えたり、元気づけようとしてくれる支援者の人がいれば、それは、間違いなくありがたいものだと思います)。

 また、「具体的にどういったところから僕がそのような印象を受けたのか」ということは、すぐには説明しにくいのですが、NSAからは、日本の言友会以上に、新自由主義的な社会への適応を目指しているような印象を全体として受け、そこにアメリカらしさを感じました。ちゃんとフィールドワークすれば印象は変わるのかもしれませんが、例えば当事者研究で強調される「生きづらさを豊かさに変える」「前向きな無力さ」「苦労は宝だ」「それで順調」という考え方とは、思想や発想が少し違うのかな、という気がしました(もしかしたら、今のNSAでは、「固有の思想を持たない」ということを大事にしているのかもしれません)。

 ほかに日本との違いということで僕が感じたのは、「日本よりも、当事者団体内部で、専門知がよく浸透していそうだ」ということでした。別の言葉でいうと、「NSAは、言友会に比べて、専門家に対する不信感があまりなさそうだな」という印象を受けました。知識が広く共有されているのは基本的にはいいことだと思いますが、専門知による当事者への囲い込みがなされていないか、少し気にかかりました。

 吃音のように、確実な治療法や普遍的な対処法が存在しない障害や生きづらさについては、あらゆる専門知について、その受け入れを巡って、必ず当事者サイドから固有の経験に基づいた違和感や独自の解釈がありうるはずだと僕は思っています(もちろん、「どのような解釈があり得るのか」には、多様性がありますが)。団体としての思想と言う形で、それが共有されていないとすれば、個人個人のレベルで、どのような形で、どの程度、専門知とは違った文脈での、吃音についての当事者としての言葉が立ち上げられているのか。また、それらがどの程度共有されているのか。個人的には気になりました。

 例えば、「結果の解釈については慎重になった方がいい」と言われることの多い科学の代表に脳科学がありますが、今回の大会でも脳科学の研究発表がなされていました。紹介されていた研究内容について、当事者サイドから批判や議論がどの程度あるのだろうか、もう少し知りたい、と思いました。

 実際にNSAでフィールドワークやインタビューをすれば、様々な方向から日本の言友会とのパラダイムの違いがたくさん発見できそうで、今回の吃音勉強会も、いろいろなことを考えさせられる、とても刺激的な時間でした。担当された越智さん、あらためてありがとうございました。

(Tさん)

 女性のつどいのライングループ経由で、この勉強会の知らせを受けたのは、前日の7/24の夜だった。仙台市在住の私は、埼玉言友会との繋がりは全くなく、ましてやオンライン上での勉強会となるとついていけるか不安であったが、“アメリカ吃音協会のオンライン大会”という言葉に惹かれ、急遽参加することにした。

 大会は7/7~7/10にかけてzoomを介して行われ、それに参加した越智氏から、大会の概略や雰囲気などを、パワーポイントを駆使して説明していただいた。手元に資料がなかったため、大まかな内容しかつかめなかったが、後からNSA(National Stuttering Association)のサイトを覗いてみると、オンラインとは思えないほどプログラムが充実しており、2年前の広島大会が懐かしく思い出された。

 個人的に興味を持ったのは、広島でも上映された『When I stutter』(私がどもる時)の上映会。この映画は、世界各国で生きる吃音者を追ったドキュメンタリーで、その一部をほんの少し見せてもらったのだが、日本の外の吃音者がどのような生き方をし、どのように吃音と向き合っているのかが垣間見える内容のようだ。広島で見ておかなかったことが悔やまれる。

 他にも、リアルな大会とは一味違い、例えばプログラムの最中に、チャット機能を使って、参加者が各々感想を述べたり、知り合いに挨拶したりと、オンラインならではの楽しみ方もあったようだ。

 容易に海外に行ける状況ではない昨今、今後ますますオンラインによる会合が増えると予想され、そういった意味でも、この大会は大きな役割を果たしたに違いない。NSAの大会に限らず、海外で開催される学会に、機会があれば私も参加してみたいものだが、やはり観光も楽しみたいので、できればオンラインではないほうを希望する。(笑)

 最後に、この大会を紹介してくださった越智氏に感謝いたします。

(Uさん)

 自分が特に印象に残ったのは、カミングアウトをすることで、相手と仲良くなったという事例。吃音のカミングアウトは吃音者にとって

なかなか難しいことの一つなので、それをするメリットの一つとしての自分の悩みや苦しみを開示することで、相手も同じようなレベルの悩みや苦しみを開示してくれて、相手と仲良くなれるというのは気づかなかったので、そういうことを知れる場があるというのはいいなと思った。

 吃音症状の改善だけではなく、悩みを軽減する様々な当事者の事例、それを知るだけでも前に進む勇気や希望になるんじゃないかなと思い、アメリカの団体の価値を感じた。

(Mさん)

 父の緊急入院直後でしたが、自宅待機だったので参加しました。しかし内容は頭に入ってこず...すみません。

 追伸。PCRの結果は陰性でした。酸素マスクは2日で外れ、今ではゼリー食も摂れています。昨今のコロナ渦で老人ホームは面会禁止ですが、病院は主治医立ち会いのもと見舞いOKなので、親戚何人かに声をかけ面会してもらうようにしています。また施設に戻ったら面会謝絶になるわけで、次、会えるのがいつになるか(もう次はターミナル期ではないのか)なので覚悟の面会になります。認知症も進み厳しい状況です。一刻も早いコロナ渦の収束を願っています。

(Tさん)

 7月7日~7月10日開催の7月8日~NSA大会に翻訳機を片手に参加した。広島の世界大会に参加された方や各国からの参加があった。様子は断片的でしたが、白熱した様子、楽しい様子は伝わってきた。チャットでも途切れることなく皆積極性に書き込んでいた。その様子がこの報告会にてより詳細に理解できた。印象に残るのは「NSAに参加して人生が変わった。吃音への見方が変わった」だ。こう感じる人は万国共通ばりに沢山いたのは嬉しい。